熱帯雨林の教科書。いい本です。 [文献]

Corlett & Primack (2011) Tropical rain forests: An ecological and biogeographical comparison, Second edition. Wiley-Blackwell.
Tropical Rain Forests: An Ecological and Biogeographical Comparison

Tropical Rain Forests: An Ecological and Biogeographical Comparison

  • 作者: Professor Richard T. Corlett
  • 出版社/メーカー: Wiley-Blackwell
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: ペーパーバック



北村俊平氏のブログで紹介されていた本。非常に読みやすい英語で書かれている教科書。コンパクトな内容で、十分に網羅的なトピックを扱っているが、かつ、全編をとおして熱帯林の多様性を強調するというよくできた構成になっている。全体は、以下のように大きく分類群にわけて章立てされており、内容の把握がしやすく分量も読みこなしやすい。各章は独立して読めるので、学部生の文献紹介にぴったりだろう。最初の出版から6年後の第2版ということで、ごく最近の(2009や2010の)論文がたくさん追加して紹介されている。豊富かつ的確な文献からの引用がありがたい。忙しいあるいは私のような怠け者研究者のお勉強にも、ぴったりである。カラー写真が多く、なぜかガボンの画像がよく使われている。内容のわりには、図表が少ないが、これは興味深いところは原典をあたるべきであるというポリシーの反映なのかもしれない。専門分野のサルやアフリカに偏りがちな知識を、相対化するのにもすごく役に立つことうけあいだ。ふつうこういう本を書くと、自分のかかわる地域や動植物グループに肩入れしてしまうものだが、そういう気配がまるでなく、視点に偏りのない感じがさらに読みやすさをもたらしているのかもしれない。つまり、英語だけでなく、文体も優れているのだろう。

1)多種の熱帯雨林
2)植物:雨林の基本要素
3)霊長類群集:生物地理と生態学を理解する鍵
4)食肉類と植物食者
5)樹冠の果実食コウモリと飛翔動物
6)昆虫:多様・豊富・生態学的重要
7)島嶼性雨林
8)熱帯雨林の将来

タグ: 文献
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